其の六

【念願】

先生の「Hidemasa! Go for it!!」も虚しく、私は見事に落ちこぼれた。

全く授業についていけないのだ。「やはり日本の勉強を怠ったからなのか・・・!?」

私は自信を(もともと自信などなかったのだが)失った。

このままではダメだ!解らない授業を聞いているより、解る事から少しずつやっていかねば!!

私はChackの所へ授業終了後に会いに行った。「エ、エクスキューズミー?」と、私が話かけると

「OH! ヒデマサァ!ドウシマシタカ?」と日本語で答えてくれた。

「あの・・・、ちょっと・・・、レベルを・・・、下げたいんですけど・・・。」

「OH! NO〜〜〜〜!!!!!!」

げっ!やはりか・・・・。あまりにおおげさなリアクションだったので、私は少し驚いた。

「これがアメリカ人のリアクションか・・・!」

私は関西の芸人を思い出した。「ドウシテデスカ?」とChackが聞いてきた。

私は、めちゃくちゃなミックス英語で答えた。

「え〜っと、アイ わからないぃ〜、クラスぅ〜、

レベルぅ〜、ダウン〜、好きィ〜。」

と、こんな感じだ。しかし、このミックス英語が効いたのか、予想とはうらはらにChackは

「・・・Well, O.K. Then which leveldo you want to be?」と、尋ねてきた。

私はなんとなく言っている事が分かったので、「レ、レベルワン!!」と言った。

すると、「That class is pretty easy!Are you sure?」と聞き返された。

私は最近『Are you sure?』の響きは何となく覚えていたので、頭のなかですぐに『正気か?』と訳せた。

「イエス!!イエス!!」私はちょっと興奮ぎみに言った。

Chackは、ブックストアーには言っておくから、教科書を変えてくるように私に言った。

遂に私は念願のレベル1に行くことになった。

翌日、すがすがしい朝だ!私が英会話の初心者(小学生以下)だということが証明される初日だ!

心の中の私は今日が初登校日!のような感覚だ。いつものようにBarbaraが車で学校まで送ってくれた。

「え〜と、レベル1の教室は・・・・?」構内地図で教室を探す。

「あった!!ここだ!!」私は教室のドアを勢いよく開けた。

「・・・・・・・・。」

私は言葉を失った。レベル3の教室ではみんな英語の会話が聴こえていたのだが

私の耳に入ってきた音声は全く別のものだった。「●◯※*◎☆◆!!」ちがう、英語じゃない。

私はその会話をしている人たちを遠くから観察した。黒い。しかし黒人にしては顔だちが違う。なに人だろう?

と、その時ドアが開き、女の先生が入ってきた。今まで大声でわけのわからない言葉を発していた人たちはすぐさま席に着いた。

「Good morning everyone!」私の自己紹介無しに授業は始まった。

先生は黒板に何か字を書きながら、テキストのページと、問題を指定した。その時!とんでもないことが起こった!

「ティィーチャラァ!!イエスタラデェイ!!ナンバラワン!!」

なんだ今のは?何語?テイィーチャラ?なんだ?振り返ると、さっきの浅黒い連中のうちの一人だ。

ところが先生は何事もなかったかのように

「Well, we finishednumber one yesterday.

Today we`ll startfrom number two.」

と英語で答えた。

「つ、通じてる!!」

私はさっきのティーチャラだのナンバラだのが通じてる事におどろいた。

「お、おいらの英語はこれ以下なのか・・・・。」私はさらに自信を失った。

其の七へつづく

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