其の四
【レベル】
無事『オリエンテーション』も終了し、自分の席に戻った私は自分のクラスの発表を待つだけとなった。
「■○△※◎ヒィデェマァサァ!」
私だ!!やはり外人の撥音は難しい。
「イ、イエス!」と席を立って、自分のクラスの在籍表のような紙をもらいにいった。
「あっ!!!!」
私は愕然とした!なんてことだ!レベルがすべて3になっているではないか!!
「どういうことだ....?たしかに全部レベル1って書いたのに...。」
その時私は受け付けの生徒が見せてきた紙を思い出した!
「あの紙...そうだ!!高校生の時の内申書の英語版だ!!
間違いない!!」
そう。留学する為の書類『I-20』を発行してもらうには日本の
『高校卒業の証明』と最終在籍時の『学業報告書』を英語で作成してもらわなくてはならない。
その為私は自分が卒業した高校の英語の先生にたのんで両方を作ってもらったのだ!
もちろん私に内容がわからないように封はしてあった。それを日本から送った記憶がある。
あの先生はおそらく多少なりとも私の成績に色をつけてくれたに違いない。
今となってはよけいなお世話となってしまったのだが...。うぅ.....。
おそらくさっきの受け付けの生徒は
「こんなに成績いいのに、レベル1なの?」「レベル上でも大丈夫でしょう!」
という感じの内容を言っていたにちがいない。
確かに数学は日本人の(私の)得意科目なのだが、英語は....!
もちろん私に「レベル1希望なんです!」を言えるほどの英語力は無く、
混乱した頭を落ち着かせながら、構内の『Book Store』へ教科書を買いに行った。
レベル3のコーナーにある教科書を一通り選び、キャッシャーへと運んだ。初めての買い物だ!
「One-twentyfive andthirty cents.」
「は?ワントゥエンティ??どういうことだ??」
私はいままで日本でつちかってきた世の中の道徳を見直さねばと思った。
私はお金の支払いすらままならないと言う事を再認識させられた。首をかしげていると
「●※*◎◯▽□☆☆○?」
でた!また分らない...。しかたがないので私は財布をみせて、札の入っている所を広げてみせた。
「取って下さい。」のジェスチャーなのだが!?成功か!?
「Well, O.K.」
やった!成功だ!!私はレシートを受け取った後やっとさっきの"ワントゥエンティ"の謎が解けた。
『$125=ワントゥエンティファイブ』なのだ!!
私は単位のあるものにも『百の位』は『ハンドレッド』が当然付くものだと思っていたが、
どうやらお金に関しては多少違うということを覚えた。
私はそのままおつりと教科書を受け取ると、Barbaraとの待ち合わせに遅れぬように駐車場へと急いだ。
重い新品の教科書をかばんに感じながら私は思い出した。
「どうしよう....。レベル3なんて...分るのか?」
不安を隠せないまま家に到着した私は、早速自分の部屋でその教科書を開いて見た。
「絶対無理!!」
最初のピンチが訪れた。
其の五へつづく
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